聖書の中の「らい」の言葉の改訂を求めます

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1 「らい病」は罪の象徴ではない。日本福音同盟が確認、啓発。

(1992年10月4日付クリスチャン新聞、通巻第1256号、1面)

日本福音同盟(JEA)は九月十日付で、聖書に記されている「らい病」 は必ずしも現代のらい病(ハンセン病)と同じでないこと、また聖書において「らい病」が罪の象徴としては記されていないことを確認し、 加盟団体に理解と協力を求める文書を、山口昇理事長、油井義昭社会委員長の連名で発送した。岡山県邑久郡邑久町のハンセン病療養所、 長島愛生園内にある単立・長島曙教会の大嶋得雄牧師から「(加入各教団・団体に)キリスト者としてのハンセン病の正しい理解等を広め、 指導をお願い」する申し入れがあったことに対したもの。 背景に、福音派の出版物や説教の中にハンセン病に対する認識が適切でないものが見られる、との指摘がある。

JEAが加盟会員、協力会員に発送した文書には、大嶋牧師から今年七月二十八日付でこの件に関する理由と要望を記した申し入れ書を同封している。 それによると、この「お願い」を要請した理由として大嶋牧師は、「日本福音同盟に加入している教団の中の出版物や説教者に次のように書 かれたり、語られたりしている」として、以下の四点を指摘している。

  1. らい病を罪の象徴として語ってはいけないのに語っていること。
  2. 現在、らい病はおそろしいものではなく、遺伝しない、なおる病であり、伝染しないと言ってよいほどの極軽微な伝染病であるのに、 ほとんど反対の表現をしているこ。
  3. らいを病む人たちの心を深く、傷つけ、苦しめ続けて入ること。
  4. らいに関して逆方向の悪啓発、悪宣伝になっていること。

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福音連盟、聖化交友会にも指摘

  • 福音連盟、聖化交友会にも指摘。長島曙教会(大嶋)得雄牧師)は、JEAへの申し入れと同趣旨の文書を日本福音連盟 (JEF=樋口茂理事長)と日本聖化交友会(本田弘慈会長)にも送付したことを明らかにしている。 続きを読む
  • 大嶋得雄牧師の話。ハンセン病についての理解は、療養所内に教会のある日本キリスト教団や聖公会、カトリックでは進んでいるが、 福音派の発行する文書や説教の中にときどき、無理解のものが見られるには残念。同じ福音派の流れをくむ単立教会として、問題の文書を 発行している教団の関係している三団体に今回の「お願い」を送ることにした。
  • 現代の「ハンセン病」と混同。説教、文書から旧来の誤解一掃を。 国立療養所長島愛生園の概況書によると、ハンセン病はらい菌の感染によって起こる慢性伝染病で、皮膚と抹消神経がおかされることが多く、 濃厚な接触により感染するといわれるが感染力はきわめて弱い。 全国ハンセン病患者協議会が旧来の「らい」にまつわる誤解や陰惨なイメージを払拭して、科学的な正しい認識に立った理解をもってほしい として呼称変更運動に取り組んできた成果として、医学名では「らい」であるが、公共放送、新聞では「ハンセン病」を用いるようになった。 現在では治療薬の発見によって、ハンセン病は治癒(ちゆ)する病となり、WHOは2000年には制圧宣言をしたい旨が報じられている。 続きを読む
  • 大嶋得雄牧師はこれらの見解を挙げ、聖書の「らい病」の記事から安易に「罪のおそろしさ」を説くような説教や教材の在り方を批判して、 次のような提言をしている。続きを読む

日本福音同盟(JEA)が、1992年9月10日付で、聖書に記されている「らい病」は必ずしも現代のらい病(ハンセン病)と同じでないこと、 また聖書において「らい病」が罪の象徴としては記されていないことを確認し、加盟団体に理解と協力を求める文書を、山口昇理事長、油井義昭社会 委員長の連名で発送した文書は次の通り。top

日本福音同盟(JEA)加盟団体に理解と協力を求める文書

らい病について

JEA加盟会員、協力会員各位
主の御名を賛美いたします。
この夏の異常なほどの暑さも一段落し、日毎に秋らしさを感じさせられますこの頃です。主の福音宣教のためにいよいよ励んでおられることと存じます。 さて、このたび長島愛生園にある長島曙教会の大嶋得雄牧師より別紙のような要望書がJEAあてに提出されました。この件につき常任理事会 および社会委員会で協議いたしました。私たちは、聖書に記されている「らい病」は必ずしも現代のらい病(ハンセン病)と同じではないこと、 また、聖書において「らい病」が罪の象徴としては記されていないことを確認いたします。 らい病を正しく理解し、また私たちの伝道牧会において誤解を招くことのないよう、また、ハンセン病の方々にご迷惑をかけることのないように おたがいに注意していきたいと思います。加盟各団体におかれましても、ご理解とご協力をいただきたいと存じますので、よろしくお取り計らいく ださいますようにお願いいたします。
主にありて
1992年9月10日
日本福音同盟(JEA)
理事長山口昇
社会委員会委員長油井義昭

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については「キリスト教はらい病(他の病も、障害も同じ)を罪の象徴として語るべきでない」とのりかいを、また②に関しては 「WHO(世界保健機関)による提言は『不治ではなく、治癒する疾病』であることを確認し、日本の専門家も同様の発言を公式に行う までにいたっている」ことを付記している。

要望として:

  1. JEAに加入している教団、団体、客員に対して、ハンセン病の正しい理解と普及を具体的に指導すること
  2. JEAに加入している 教団、団体、客員が発行した書物、印刷物や説教者の説教テープが残っていれば自発的に訂正、撤収するよう指導すること、

の二点を求めている。

また、長島曙教会の取り組み順序としては、

  1. 同教会でも、一般にハンセン病(聖書に書かれていることも含めて)の正しい理解の啓発につとめる
  2. JEAが上記の理由を取り上げ加入団体への指導をしてもらう
  3. 上記の理由に抵触する書物、印刷物、説教、説教テープなどを発見すれば、 抗議して訂正、変更、撤収、廃棄等を求め、必要を感ずれば責任を問う、としている。

これらを特にJEAに求めることについては、「日本キリスト教団、カトリック、日本聖公会にはそれぞれ三教会以上のハンセン病療養所の 教会が所属しているので、(ハンセン病の正しい理解について)誤りはない」と理解していることを指摘。この問題は、単に長島曙教会だけの ことではなく、全国のハンセン病療養所二十九教会の会員一千七百余人、日本のハンセン病療養所入所者約七千人、更に世界のハンセン病患者 約一千万人の問題であるとして、「それらの方々の納得のいくものを求めたいと考えています」と表明。抗議に応じた場合には「責任者に 長島曙教会に来ていただき、意見交換し、覚書を交わし、その通り実践していただきます」としている。 その上で「長島曙教会では、このような問題を未然に防ぎ、同じような信仰を共有するJEAと加入されている教団の名誉を、ひいて はイエスさまの栄光を傷つけないように願っています。しかし、抗議にたいして真剣に受け止めてくださらないときは、名前等を公表したり、 全国ハンセン病患者協議会(全患協)に通知し、ハンセン病を病む全国の皆さんや理解のある方々と共に続いて抗議してまいります」と結んでいる。 この申し入れを受けてJEAは、常任理事会および社会委員会で協議し、「聖書に記されている『らい病』は必ずしも現代のらい病( ハンセン病)と同じではない」「聖書において『らい病』が罪の象徴としては記されていない」ことを確認、今回の加盟各団体への文書発送となった。

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しかし日本では一九〇七年に制定された「らい予防法」が、数次の改正を経たものの今でも患者を通常社会から排除し、絶対隔離の思想で貫いている として、全国ハンセン病患者協議会は改正を要求している。患者の立場からは、同法は患者の基本的人権を極端に軽視していると見られており、 日本の現行のらい予防法は差別法の最たるものとして国際的にも厳しく指弾される状況にあり、この法の改正が行われない限り真の「人間回復」 はあり得ない、と指摘されている。 また、聖書に書かれている「らい病」と現在の「ハンセン病(らい病)」については、同一のものとは言えないとの指摘が専門家からなされている。 日本のハンセン病医療に四十五年来携わっているクリスチャン医師、犀川一夫氏は次のような諸点を指摘している。 ①レビ記一三章、一四章には、祭司がらい病を判定する基準が記されており、「その患部の毛が白く変わり、その患部がそのからだの皮膚よりも 深く見えているなら、それはらい病の患部である」(一三・3)とあるが、ハンセン病患者の毛は白くならない。 ②聖書にはあまり具体的にらい患者の症状が記されていない。そのような中でヨブの症状を見て、らい病者のように言う人が多い。ヨブはかゆく て陶器の破片で自分の身をかいたとされているが、ハンセン病の症状は麻痺(まひ)することであって、かゆくはない。 ところが聖書には、ハンセン病の最大の症状である麻痺することが書かれていない。国際らい学会事務局長を務めた故スタンレー・G・ブラウン 博士はその著書『聖書の中のらい』で次のように指摘している。 「ヘブル語とギリシャ語の聖書が、今新たに英語か他の言語に訳される場合、歴史的言語学と現代医学用語学の双方に熟達した学者で、 しかも先入観にとらわれない人なら、ヘブル語のツァーラハトとギリシャ語のレプラという語の訳語として『らい病』や『らい』という名 は選らばないでしょう。内包的、外延的意味を含めて適当な訳語をみつけるのは殆(ほとん)ど不可能なのです。事実、大勢の学者はこの言 葉を訳出不能としています。 現代語を用いる人々は理解しがたい観念を含んでいるからです」。

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これに対してJEFでは、十一月の全国理事会でこの件を取り上げる予定という。高松隆二JEF常務理事は「私たちきよめ派では、 きよめのメッセージでよくナアマン将軍の"らい病"のいやしなどを使うが、使い方が問題だと思う。JEFでは先に『聖歌』の中の差別語 ・不快語改訂にも取り組んでおり、その延長としてこれは当然取り上げるべき課題。全国理事会ではかなり突っ込んで話し合うことになる と思う」としている。 一方、聖化交友会の岸田馨総務は「趣旨には賛同するが、聖化交友会はあくまでも個人加盟の団体なので、上から通達するというような立場 にない。会員の方には折々に趣旨を伝えていきたい」と話している。

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  1. 聖書の中のらい病と現代のハンセン病(らい病)は必ずしも一致しないことを頭において、そのことを話す必要がある。
  2. 「らい病は神様、イエス様だけしか治せない病気」などと言うと、人々にハンセン病は恐ろしい病気だと思わせてしまう。聖書でらい病 の話をしたときは、現在のハンセン病は治る病気、うつることを考えなくてよい病気であることを常に話し、啓発する必要がある。
  3. 迫力ある説教効果を狙い、罪の恐ろしさを示すためにらい病を取り上げる人が多いが、罪の象徴、譬(たとえ)に使う御言葉の根拠 はどこにあるのか。ミリアム(民数記一二・10)、ゲハジ(Ⅱ列王記五・27)ウジヤ王(Ⅱ歴代誌二六・19)等は特例であって、 これらの特殊かつほんの一部の例で総体的な話は出来ないのではないか。
  4. ハンセン病患者は何の罪ゆえに自分が患者になったのか悩み、隔離され、基本的人権を奪われた。苦しみの生活をしてきた。彼らは、 イエス様が訪ねてくれ、共に食事をし、特にヨハネ九章で生まれつきの盲人に語られた「この人が罪を犯したのでもなく、両親でもありません 。神のわざがこの人に現れるためです」によって、因果思想、天刑思想から解放された。彼らの悲しみと解放の喜びを考えると、らいを罪の 象徴と語るのは間違いである。
  5. 現実のハンセン病をある程度調べて、説教や教材を作ってほしい。「百聞は一見にしかず」であるから、療養所に来て見ることである。
  6. 新共同訳「聖書の旧約においては、ツァーラハトに包括的な意味があるからか、従来の「らい病」を「重い皮膚病」と訳している。新約 ではギリシャ語の「レプラ」に他の訳ができなかったためか、従来どおりの「らい病」と訳しているが、新訳でも「重い皮膚聖書のらい病」 と訳すのが正しいのではないか。そうすれば、だれも「らい」を罪の象徴として語っても、聞く人にインパクトを与えることができないからである。

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last updated 23 Nov.2011 開設日:2003年11月1日

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