聖書の中の「らい」の言葉の改訂を求めます

聖書の「らい」の改訂を求めるHPのミラーサイト

日本聖書協会の公告

カトリック新聞(03-5632-4432)とキリスト新聞社(03-3260-6445)は 1月27日に、日本聖書協会の公告を広告の形で、 日本聖書協会の文書を下記の 通りで、掲載をしました。私は、両新聞社の編集長(社長)に、広告だからと言って問題のある記事を載せるのは新聞人として、 ふさわしくないのではないかと抗議しました。キリスト新聞社は、最後まで、検討していると言いながら載せました。 クリスチャン新聞は、わたしのコメントを載せて、広告の形ではなく、記事として下記の通り1月27日付けで載せました。

日本聖書協会の原稿
『聖書 新共同訳』「重い皮膚病」について

財団法人 日本聖書協会は、「聖書 新共同訳」に関して、読者から「重い皮膚病」と訳出される旧約聖書の原語「ツァラアト」及び新 約聖書の原語「レプラ」を、すべて「ツァラアト」に翻訳訂正してほしいという要望を受けました。そのため、『聖書 新共同訳』を管理 する共同訳聖書委員会(委員長・木田献一:山梨英和学院院長・山梨英和大学学長)の委員8名で約2年間にわたり協議した結果、下記のよう に結論にいたりましたので、読者の皆様に公告いたします。 協議の中で確認されたのは次の2点です。聖書の中で過去に「らい病」と訳され たことは、ハンセン病が特定されたのは歴史的に近代であり、それを特定した翻訳は不適切であったこと。次に、その原語である「ツァラアト」 「レプラ」をそのままカタカナで表記しても一般名詞として説明しても説明がつかないことがあり、文脈の中で「重い皮膚病」「かび」と訳すこと が現在考えられる最適な訳であることです。 「重い皮膚病」がハンセン病やその他の病を連想させる言葉だという批判に対しては、「用語解説」 を付記することによって、今後聖書を読む方に誤解が生じないように努力することで一致いたしました。 「重い皮膚病」は、旧約ではヘブライ語 「ツァラアト」の訳語として使われています。旧約のヘブライ語原典が「七十人訳」によってギリシヤ語に訳されたときヘブライ語の「ツァラアト」 は「レプラ」に訳され、新約聖書も「レプラ」を踏襲しています。『聖書 新共同訳』は1987年の発行当初、旧約聖書の「ツァラアト」を「重い 皮膚病」と「かび」に訳し分け、新約聖書の「レプラ」を「らい病」と訳していましたが、1997年版からは新約聖書の「レプラ」を「重い皮膚病」 に変更しています。 旧約の「ツァラアト」は、祭儀的な汚れの観点から書かれているため、病理学的にいかなる病気か明瞭でなく、ただそれが 人体について言われる場合には、一般的に皮膚の疾患であることに異論を唱える学者はありません。別の箇所では、衣服や革製品、家屋の壁など にも生じるとされているので、その場合には、「かび」と訳出しています(レビ記13章47節以下27回)。 そのためレビ記13-14章では、 「ツァラアト」を「重い皮膚病」と「かび」に訳し分けています。その理由は、ヘブライ語聖書では両者は外見上の類似によって、共に「ツァラアト」 と言う同一の語で表しうると考えられていたからです。 ハンセン病が旧約の時代のパレスチナにすでに存在していたかどうかは、病理史的に疑問 とされ、否定的な見解が多数を占めています。 レプラは、新約聖書では福音書にのみ現われますが、必ずしもハンセン病を指すわけではなく、 ツァラアトと同じように祭儀的な汚れの意味で用いられています(マルコ1章40-45節と並行箇所)。 一般的に日本語で「らい」、英語で 「レプロシー」と言われてきた病気は、ノルウエー人の医師ハンセンが「らい」の病原菌を発見するまでは、そもそもこの病気についての正確な 診断がなされる保証はありませんでした。「らい病」に類似した病状が認められれば、通俗的に「らい」とい語が適用され、またその病気に対す る無理解のために、世界のいたるところで、不当な差別と隔離が行われました。ハンセンによる病原菌の発見とプロミンをはじめとする特効薬の 開発以後、現在では、かって行われていたハンセン病者の隔離や差別が極めて不当なものであったことが、わが国でも公的に確認されています。  旧約時代においても、新約時代のパレスチナにおいても、聖書で「ツァラアト」あるいは「レプラ」と呼ばれる「重い皮膚病」にかかっている病者 に対して不当な扱いがなされ、隔離と差別が広く行われていたことは否定し難い事実です。そのような状況の中で、旧約の預言者たちが、また特に イエスが、祭儀的な「汚れ」とされていた「重い皮膚病」から人々を救い出したことが、聖書の中で奇跡的な出来事として記されているのです。  「ツァラアト」というヘブライ語は日本人には全く理解不可能な単語であり、訳としての意味をなさないだけでなく。このヘブライ語が旧約の中で すでに差別語として使われていたのではないかと思われる例が見られます。列王記上11章26節に北イスラエル王国の最初の王となったヤロブアム 一世の母の名はツェルアであったと記されていますが、この名は「ツァラアトにとりつかれた者」の意味であり、ヤロブアムを批判する立場から 使われていたであろうとケーラー・バウムガルトナーの『ヘブライ語・アラム語辞典』は指摘しています。「重い皮膚病」と訳出したヘブライ語の 「ツァラアト」およびギリシア語の「レプラ」が実際にどのような皮膚疾患であったのかを確実に判断しうる資料がないので、一般の読者に理解し うる訳語として「重い皮膚病」を採用し、巻末に「用語辞典」を付記することにしました。

                    

2008年1月                 財団法人日本聖書協会                   総主事 渡部 信

◎クリスチャン新聞の記事
訳語「重い皮膚病」を堅持新共同訳の翻訳訂正要望に結論巻末に用語解説の付記で対応

「聖書 新共同訳」 の読者から、「重い皮膚病」と訳出した旧約聖書の原語「ツァラアト」(ヘブライ語)及び新約聖書中の「レプラ」(ギリシャ語)をすべて「 ツァラアト」の翻訳訂正をしてほしいと要望を受けていた財団法人日本聖書協会(JBS)は、同聖書の巻末に「用語解説」を付記する前提で「 重い皮膚病」を採用することを決めた。同聖書訳文を管理する共同訳聖書委員会(木田献一委員長)は、この問題について2年間にわたり協議 を続けてきた。今回。最終の委員会決定として、旧約の「ツァラアト」は祭儀的な汚れの観点から書かれているため、病理学的には正確にいかな る病気か明確でなく、ただそれが人体について言われる場合には、「一般に皮膚の疾患であることに異論を唱える学者はない」こと、また「 ツァラアト」ということばは、人名や地名などの固有名詞と違ってそのままカタカナ表記しても一般名詞として説明がつかず、日本人には全く 理解不可能な単語であることを挙げている。これに対し異論を唱えてきた大嶋得雄氏(単立・長島曙教会牧師)は、「現代、「ツァラアト」は 現実にないので、「ツァラアト」のまま用いる方が誤解、差別、偏見を生まない。また、1つの「ツァラアト」という言葉を「重い皮膚病」と 「かび」という2つのことばにするのは問題であるし、重い皮膚病患者を苦しめることになる。また、将来どんな重い皮膚病が流行するかもし れないから「ツァラアト」のままが最善」とコメントした。JBS総主事の渡部信氏は、今回の公告による発表が対個人のものではなく、「すべ ての読者の方々に対してJBSの立場を明らかにするためのもの」とした上で「反対意見の主張点は、「重い皮膚病」という表現が、かって訳語 として用いていた『らい』。またはハンセン病を『連想させる』と言う点であり、以前の訳語に触れたことのない新しい世代の読者にとっては「 重い皮膚病」が必ずしも『らい』を連想するとは限らないこと、また、そうでない多くの読者の方々に対しても、その配慮として『用語解説』を 付記することによって、「重い皮膚病」が『らい』またはハンセン病でないことを説明し、誤解を生じないよう努力することで意見が一致した」 と説明した。※新共同訳聖書では従来の訳語「らい病」がハンセン病との誤認を招く可能性があることから1997年版から暫定的に「重い皮膚病」 に置き換えていた。

2008年1月27日長島曙教会の礼拝で次の説教をしました
「重い皮膚病とかびの訳について」 (レビ記一三章四五~五二節)(レビ記一三章四五~五二節)2008・1・27(日)

  本日付けの週報をご覧になられ、ただいま司会者に読んでいただいた聖書の箇所、説教題をお知りになられて、今日の説教題は妙だなとお 思いになられる方が多いことと、思います。

皆様方は、重い皮膚病とかびの訳と聞けば、すぐ、これは、以前の「らい」の言葉の改訂され た言葉だとお分かりになられたと思います。私は、「重い皮膚病」と「かび」の言葉はふさわしくないから、二〇〇五年に日本聖書協会へ、 口語訳聖書と新共同訳聖書の「重い皮膚病」「かび」の言葉を改訂するように要望しておりました。

ところが、日本聖書協会は、昨日、 1月26日付けのカトリック新聞、キリスト新聞に、「重い皮膚病」と「かび」の訳が最適な訳であると確定的に、このように大きく公告を 出した。クリスチャン新聞は私の反対意見のコメントを書いて、記事として一月27日付け新聞に掲載しました。こういうことで、神様は、今 日の講壇で語るようにお示しくださったのだと思います。

さて、日本で読まれている三大聖書は日本聖書協会発行の口語訳聖書、 新共同訳聖書といのちのことば社発行の新改訳聖書である。これらの従来の聖書の中には、約六四回の「らい病」「らい病人」 の言葉があった。アメリカやヨーロッパなど世界の国々の聖書でもその国の「らい病」「らい病人」の言葉で訳されていたと思います。 主だった国の聖書を調べてそうでありました。

約五〇年前に医学博士のS・G・ブラウン、同じく医学博士R.G.コクランとアメリカ のカービル療養所の入所者で薬剤師のスタンレー・スタイン氏が聖書の中の「らい」は医学上の「らい」ではないと訴えていた。カービル 療養所に、コクランが出入りし、彼は「聖書に描写されている白色の症状は、絶対にハンセン病ではない」、「聖書に描写されている症状に、 ハンセン病の特徴を示すものは一つもない」、「この病気は宗教的な罪のしるしとみなされているので、かかった人は自分を呪われた人間と 考えて精神的に苦しむ。古来よりこの考えは、患者に筆舌につくしがたい苦しみを与えてきた」と言う論文を医学雑誌に掲載した。

確かに、 古い古典的な聖書の注解書には、「この病気は、罪の最もいきいきとした驚くばかりの雛形である」等と書かれている。 スタインは カービルでスター(星)と言う新聞を発行し、編集長でもあったのでスターにこの論文を乗せた。今でも、スターは発行されている。

スタインは次のように言った、「私が30年にわたる戦いを続けることが出来たのは、・・・多数の学識ある人々がコクラン博士の論文を支 持してくれたからである。・・・これで、私がレプロシー(らい)、レパー(らい患者)と言う忌まわしい言葉に戦いをおわかりいただけよう。 これら二つの言葉が使われている限り、この病気と罪との誤った関係は続き、不当な聖書の烙印が消えることがない」と。しかし、スタインの 働きは報われないまま、召されて行った。

元世界失明防止教会副会長の W.G.ホームズ博士も、「レプロシーは恐ろしい病気で遠ざけねば ならないという欧米社会の偏見は、実は、バイブルとキリスト教社会が、2千年にわたって、人の心に植え付けたものだ」と言った。このよう に、キリスト教界は長年、「ツァラアト」と言う原語を「らい」と誤訳して、罪やけがれの譬えに、あるときはイエス・キリストの愛を最高 に表すものに用いてきた。らいと誤訳しないでも、いろいろな真実なものや出来事で、罪をあらわし、イエス・キリストの愛を、原語の 「ツァラアト」のままで、それらをあらわすことが出来るのにである。

日本では、一九九六年に「らい予防法」が廃止された。呼応するよ うに、日本聖書協会は一九九七年に新共同訳聖書は暫定的に、人のらいを「重い皮膚病」に、衣服などのらいを「かび」に置き換えた。 聖書のらいはハンセン病と異なると言う理解も出てきたが、「らい予防法」が廃止されたことと、「らい」は差別語であることが言われか けたので対応した感が強い。二〇〇二年には、口語訳聖書も同様に置き換えられた。

いのちのことば社は二〇〇三年に新改訳聖書の「らい」 の言葉を原語のヘブル語「ツァラアト」に改訂した。いのちのことば社は色々な言葉を造語を模索したが、結果的に私の主張どおり、 「ツァラアト」にした。

暫定だと言った日本聖書協会の「重い皮膚病」「かび」の訳が8年も過ぎたので、私は、同協会へ、 二〇〇五年八月に「重い皮膚病」「かび」の言葉を次の理由から「ツァラアト」に改訂するように要望した。

 
  1. 現代、現実に、これがツァラアトだというものはない。
  2. 「重い皮膚病」と訳せば、色々な重い皮膚病患者がいて、 特に、レビ記一三章四五、四六節によって苦しめられることになる。アレルギー性皮膚炎、アトピー,紫斑病、その他多く の「重い皮膚病」がある。
  3. 一つの言葉であるツァラアトを、意味の異なる「重い皮膚病」と「かび」に訳すのは誤りである。 
  4. らいを置き換えた言葉であるので、ハンセン病と違うのだと言われても、連想してしまう。 

しかし、日本聖書協会は、この度、 カトリック新聞、キリスト新聞に、「重い皮膚病」と「かび」の訳が最適な訳であると確定的に公告を出した。残念である。

  クリスチャン新聞は公告ではなく、記事として扱い、私のコメントをも載せて発行した。

昨夏、私の友人の牧師は、多分スティーブ ・ジョンソン氏症候群ではないかと言う100万人に4,5人の発祥と言う大変ひどい全身の「重い皮膚病」になった。彼に、口語訳 聖書と新共同訳聖書の重い皮膚病」の訳の感想を聞いた。十羽一からげに言ってくれたら困ると言われた。そして、自分のホームペー ジに「ツァラアト」を「重い皮膚病」と訳すことに無理がある、家族と離れて一人、住まなければならないは問題であると掲載した 。

関東にいるある牧師さんが昨日手紙をくれた。新共同訳が修正をしないと発表したことに心を痛めていますと。なぜ、「重い皮膚病 」と「かび」の訳にこだわるのか。誰が、子供が考えても、

レビ13:45 重い皮膚病にかかっている患者は、衣服を裂き、髪をほどき、 口ひげを覆い、「わたしは汚れた者です。汚れた者です」と呼ばわらねばならない。13:46 この症状があるかぎり、その人は汚れてい る。その人は独りで宿営の外に住まねばならない。

おかしいと思う。こんな言葉が聖書の中にあることを、社会の人が知ると、驚くと思 います。色々な「重い皮膚病」で苦しんでいる人は怒るであろう。なぜ、「重い皮膚病」を確定し、堅持することを公に公告したのだ ろうか。ある牧師さんは説教の中で、『ここでいう「重い皮膚病」と訳されておりますのは、多分らい病、ハンセン病のことではない かと思います』と説明して、ホームページ載せているとおり、聖書のらいは、ハンセン病でないとは表向きにはいいながら、ただ、「 重い皮膚病」に置き換えただけに過ぎない。 「らい」は差別語だから、「重い皮膚病」に置き換えただけだと勘ぐってしまう。

もう 一つ、「改訂すると、多額のお金がかかるからである。誰が考えても、おかしい、「重い皮膚病」の文章に変えない。この度の、 日 本聖書協会の大々的な新聞公告は、非常に残念だと思う。悲しくなる。これは、皆さんを苦しめてきた聖書のらいの誤訳の延長である 。力のある 日本聖書協会がこんなに強圧的にしてこられたら、どうする事も出来ない。でも、神様にお祈りして、神様に助けを求めて 。小さくはあるが、改訂をなお、求め続けたい。ご理解とお祈りの支援を御願いする次第であります。

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last updated 23 Nov.2011 開設日:2003年11月1日

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